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平家物語 巻1(吾身の栄花より、桜町の中納言)   
 
  
    
      | 作者名  | 
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      | 作品名 | 
       平家物語 | 
     
    
      | 成立年代 | 
       13世紀 | 
     
    
      |  その他 | 
       平清盛(1118-1181)の娘たちを記す部分の一部。桜町の中納言成範卿とは、藤原成範(1135-1187)。少納言入道藤原道範(信西,1106-1159)の子、小督局(こごうのつぼね,高倉天皇の寵姫)の父。花山院の左大臣殿とは、藤原兼雅。花山院藤原忠雅の子。 
       テキストは『日本古典文学大系』による。 | 
     
  
 
 
      
      
        
          
              
             其外御娘八人おはしき。皆とりどりに幸(さいはひ)給へり。一人は桜町の中納言成範(しげのり)卿の北の方にておはすべかりしが、八歳の時約束斗(ばかり)にて、平治のみだれ(1159)以後引ちがへられ、花山院の左大臣殿の御台盤所にならせ給て、君達(きんだち)あまたましましけり。抑(そもそも)此成範卿を桜町の中納言と申ける事は、すぐれて心数奇(すき)給へる人にて、つねは吉野山をこひ、町に桜をうへならべ、其内に屋をたててすみ給しかば、来る年の春毎にみる人桜町とぞ申ける。桜はさいて七箇日にちるを、余波(なごり)を惜み、あまてる御神に祈り申されければ、三七日まで余波ありけり。君も賢王にてましませば、神も神徳を輝かし、花も心ありければ、廿日の齢(よはひ)をたもちけり。云々。 | 
           
        
       
      
       
 
      
      
 
 
 
 
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